市立角館総合病院

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脳神経外科

mesh socks電極と脊髄刺激による下肢運動機能の回復促進治療についてのご報告

 当院で行っている通常のリハビリ(PT)のみで改善しがたい、下肢運動麻痺について、mesh socks electrode(メッシュ靴下電極刺激)および腰髄L2のの脊髄刺激を追加することにより、運動機能や歩行が改善した2例を経験したので、2012年4月28日(福岡)に本脳卒中学会の一般講演で報告しました。以下の抄録を掲載いたします。
 これに関するお問い合わせは、毎週木曜日の外来、または地域連携室にお願いいたします。角館総合病院脳神経外科およびリハビリテーション科は、1994年からBaylor医科大学元教授Milan and Meta;Dimitrijevic先生の指導のもと日本国内唯一でmesh glove、mesh socks治療を導入、継続使用しております。また脊髄刺激については、日本大学医学部脳神経外科片山容一主任教授、平山晃康教授のご支援を得ております。

脳卒中学会講演内容

SS-O70-5 Electromesh sock 電極による低周波刺激と脳卒中および脊髄障害後の下肢運動機能回復

仙北市立角館総合病院 脳神経外科
西野 克寛、山口 卓、小泉 健太郎、嘉陽 毅

 1994Demitrijevichは脳卒中後の上肢運動機能の回復にelectromesh glove electrodeによる低周波刺激法の有効性を報告、2011私達もその効果を確認したが、electromesh socks electrodeの運動機能回復の報告はなく、今回下肢の機能について検討した。

(対象)
 通常の理学療法で改善しなかった脳梗塞5例、脊椎症1例の6例である。脳梗塞は全例、片麻痺で、うち2例は、中大動脈閉塞により内包、放線冠、運動野を含む大脳半球の広範な脳梗塞である。刺激方法は、mesh socks electrode(足首より5cm近位)と、Micro-Z two channel stimulator(Prizm, Med Inc, Geogia,USA)を用いて、50 c/min、パルス幅300 msec、socs電極を陽極、これより2cm離したラバー電極を陰極として、mesh glove刺激法(Dimitrijevich ら1994)に準じて、感覚神経を刺激する閾値以下で1回30分、1日2回、2週間、続いて、感覚神経を刺激する閾値で1回30分、1日2回、2週間をおこなった。
 刺激中は、患者には下肢の運動を負荷させた。著功を呈した2例では、持続刺激とするためTH11-L1椎体レベルに硬膜外刺激電極を埋め込み、後索刺激を併用した。評価はFMSをもちいた。

(結果)
1)著功(MMMで4/5以上):3/6(例)、ROMの改善:3/6であった。
2)著効例の3例のうち2例は、刺激前は完全麻痺の状態であった。
3)刺激後,3-5日目から改善傾向がみられた。
4)上肢の機能回復はなかった。

(結論)
 mesh socks electrodeは重篤な脳損傷により完全麻痺を呈した重篤な後遺症例で、下肢運動機能を回復させた。