市立角館総合病院

0187-54-2111

診療科のご紹介(外来・病棟)

 泌尿器科は、腎臓疾患、膀胱疾患、男性生殖器疾患などを主に診療対象としております。当院は前立腺癌検診や前立腺癌に対する手術に力を入れております。
 一般泌尿器科だけでなく血液透析も行っております。
 他院で血液透析を受けておられている方で、角館に旅行にいらした際に月曜日、水曜日、金曜日、いずれかの午後であれば、旅行透析をお引き受けいたしますので、お気軽に医事課医療連携係(患者相談窓口)まで御相談ください。
 天皇陛下がその手術を受けたことで、一躍有名になった前立腺癌が、昨今急増しているのをご存知でしょうか?当病院の泌尿器科ではそれに対応するために、数年前から前立腺癌治療に軸足をおいた診療を行っており、前立腺癌手術施設の基準をクリアーしております。

治療の特徴

 当科では、仙北市で前立腺癌検診が開始される前から、前立腺癌検診に力を入れております。前立腺癌を心配されている方は、癌検診を経由せずに、直接当科を受診された方が、効率がいいと思いますので、ご検討ください。
 なお、治療に関しては、放射線療法以外は全て当科で対応可能です。
 女性の尿失禁の治療にも力を入れております。必要最小限の検査で原因を特定され、適切な治療(薬物療法や 手術療法、運動療法)が行われると一定の改善が期待できますので、“老化現象だからしょうがない”と諦めないで受診していただければ幸いです。
 また、平成28年度より少し診療領域を広げ、男性更年期障害にも関与して参りたいと考えております。

前立腺癌について

 天皇陛下がその手術をお受けになったというニュースが報道された瞬間、一躍注目されるようになった前立腺癌が、近年国内で増加しているのをご存じでしょうか。
 これは日本での高齢者人口の増加に伴って、典型的な高齢者癌の代表である前立腺癌そのものの発生率が上昇しているという面ももちろんありますが、PSAという非常に優れた前立腺癌の腫瘍マーカー(ある方が前立腺癌に羅患している可能性があるか否かを判断するのに有効)が発見され、それが臨床の現場で活躍されることが定着してきたこと、また、PSA導入をした前立腺癌検診が普及してきたこと、さらには、PSAの値から前立腺癌が疑われる方に対して確定診断のために行われる系統的前立腺癌生検法が今日確立されたことによって前立腺癌の発見率が飛躍的に向上したことによるところが非常に大きいと思われます。
 PSAの値は少量の血液を採取することにより簡単に測定できます。市立角館総合病院ではもちろんですが、町内の医院や診療所、さらには市の基本検診でもPSA検査が可能となっております。前述しましたように、前立腺癌は年齢が高くなるにつれて、その罹患率が高くなる疾患ですので、60歳以上の方には是非一度PSA検査を受けられるようお勧め致します。

 ところで、前立腺にはおしっこが出にくくなる前立腺肥大症という病気もあります。前立腺よりもむしろ前立腺肥大症という病気を耳にしたことのある方の方が多いかもしれません。前立腺癌は前立腺肥大症の延長線上にあるものではなく、全く別個の病気ですので、おしっこが出にくいという症状がないことによって前立腺癌の可能性を自ら否定するのは禁物です。前立腺肥大症が前立腺の内側に発生する病気であるのに対し、前立腺癌は前立腺の外側に発生する病気であるため、初期の(根治可能な)前立腺癌では排尿症状が出ないからです。どうかくれぐれも前立腺癌と前立腺肥大症を混同しないようにしてください。
 PSAの異常値をきっかけに偶然見つかるような早期前立腺癌に対する治療の第1選択肢はやはり手術療法ですが、根治性においては放射線治療も手術療法に劣らないと考えられています。また、ホルモン療法も古くから知られている有力な治療法です。
 このように治療法が多岐にわたる前立腺癌は、固形癌の中でおそらくもっともおとなしい、進行の穏やかな癌です。たとえ前立腺癌と診断されても、患者さんの年齢、生検された組織の性状や病期によっては、無治療のままPSA値の推移を見ながら経過観察するのが最適な治療方針となるケースもあるほどです。従って、前立腺癌の診断が確定しても決して落胆なさらず、どうぞ前向きにその後の検査や治療を受けてください。