泌尿器科
泌尿器科の外来診療日程はこちらをご覧下さい。
明けましておめでとうございます。今回は昨年と打って変わって吹雪の中の年越しとなってしまいましたが、皆様はどんな新春を迎えられたでしょうか。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、皆様既にご承知のように、前立腺癌が増加の一途をたどっております。因みに、昨年1年間で当院で発見された前立腺癌の患者数は28人(昨年より6人増)でした。その中で、年齢や病気の進行度を考慮したうえで、天皇陛下がお受けになった根治手術の適応と判断され、前立腺全摘除術を受けられた方は17人(昨年より4人増)でした。年越しをしても手術を受けられた患者さんは皆さんお元気で通院されていますし、それ以外の治療を行っている方もほとんどの方がお元気です。
癌はごく少数の悲運な人が罹患するという特殊な疾患ではなく、むしろ逆の高齢者の3人に1人が罹ると言われるありふれた病気です。しかも以前まではその診断が下されたら死に直結する病気と恐れられていましたが、最近は診断技術の進歩により、早期に診断されるほとんど全ての患者さんの場合は根治可能になって参りました。
実はその典型が前立腺癌です。即ち、前立腺癌は他の固形癌と比べて生命予後が良く、早い段階で適切な治療をすると根治できる可能性の高い病気なのです。しかし残念なことに、症状が出にくい病気のため、症状の発現をきっかけに診断された場合は、進行性であることがかなり多く、根治することが極めて困難となってしまうというやっかいな一面もあります。前立腺癌において検診(無症状の段階で癌の可能性があるのかないのかを負担の少ない簡便な検査で判別する)の重要性が指摘されるのはそのためです。心配な方はどうぞお気軽にご相談下さい。
それでは、2010年が皆様にとってすばらしい1年になりますようお祈り申し上げます。
2010年1月5日 市立角館総合病院 泌尿器科 鈴 木 一 正
- 泌尿器科は、腎臓疾患、膀胱疾患、男性生殖器疾患などを主に診療対象としております。
- 当院は前立腺癌検診や前立腺癌に対する手術に力を入れております。
- 一般泌尿器科だけでなく血液透析も行っております。
- 他院で血液透析を受けておられている方で、角館に旅行にいらした際に火曜日、木曜日、いずれかの午後であれば、旅行透析をお引き受けいたしますので、お気軽に外来まで御相談ください。
- 当病院の総透析患者数が50人の大台を超えました。
- 天皇陛下がその手術を受けたことで、一躍有名になった前立腺癌が、昨今急増しているのをご存知でしょうか?当病院の泌尿器科ではそれに対応するために、数年前から前立腺癌治療に軸足をおいた診療を行っており、前立腺癌手術施設の基準をクリアーしております。
平成19年泌尿器科業務報告
1.平成19年1月1日から12月31日までの患者数
- 外来患者数:16,894名(平成18年と比較し2,683名の増)
- 透析患者数:8,543名(平成18年と比較し603名の増)
- 入院患者数:5,830名(平成18年と比較し170名の増)
2.平成19年1月1日から12月31日までの手術件数
- 100件:平成18年と比較し7件の増
内 訳:
- 前立腺癌に対する根治的前立腺全摘除術:18件
- 前立腺肥大症に対する経尿道的前立腺切除術:17件
- 膀胱癌に対する経尿道的膀胱腫瘍切除術:20件
- 透析患者の内シャント関連手術:14件
- 腎癌に対する根治的腎摘除術:2件
- 膀胱癌に対する膀胱部分切除兼膀胱尿管新吻合術:1件
- 膀胱内異物に対する膀胱切石術:1件
- 膀胱結石手術:5件
- 尿道狭窄根治術:6件
- 陰嚢水腫根治術:1件
- 前立腺癌に対する除睾術:11件
- 尿道カルンクル根治術:4件
3.透析患者について
平成19年末の透析患者数:58名(仙北市49名、大仙市9名)
- 新規導入患者6名、転入者3名
- 死亡者8名、転出者0名
- 緊急透析回数:22階(吸着療法を含む)
- 旅行透析患者に対する透析回数:13回
これまで毎週月・水・金のみ行っていた2部透析を、平成19年2月から火・木・土も行う体制としている。
4.学会発表
- 術後15年目に肺転移が出現した腎癌(秋田県泌尿器科集団会、平成19年5月12日、秋田市)
- 第11回秋田県腎不全研究会第4セッションの座長(平成19年12月3日、秋田市)
5.反省と感想
3月の暖かさの結果、角館の桜が例年より早まり、また、その桜木がピンクから緑に衣替えして間もないのに、最高気温30.5度を記録した。北国で新緑の季節に真夏日。暦の上でさえ夏は来ていないのに・・・・。猛暑の予兆なのだろうか。
ところで、今、当科が直面する喫緊の課題は、今後数年間増加の一途をたどると予想される透析患者に対する対応である。現在の透析室は飽和状態となっており、新たな透析装置を組み込めるスペースがないため、1日あたりの透析回数を増やすことで、急場を凌いでいるが、透析室スタッフの負担が増すことになり、スタッフの疲弊は医療安全の低下につながるためあまり好ましくないと考えている。昨年から7対1看護加算を算定することとなり、透析室のスタッフの一部が午後に病棟での業務を行う体制となった。人的資源が限られている中での医療安全の確保と診療効率(病院経営)の向上。二律背反するように思えるテーマの両立は極めて難しい。
数年前から始まった厚生労働省の医療費抑制政策、当病院が対象とする医療人口の減少、疾病構造の変化、さらには、これから始まる病院周辺の医療施設の再編の影響から、当科(当院)を取り巻く環境はさらに厳しくなり、今後も苦戦を余儀なくされると思う。
しかしそのような状況の中、その実感はないのだが、平成18年と比較すると、平成19年は透析患者数のみならず、外来患者数・入院患者数・手術件数の全てが増加していた。凡庸な医師をフォローしてくれる非凡なスタッフの献身的な努力の賜物と思う。心から感謝を申し上げたい。同時に疲労を蓄積して肉体を削らないで欲しいと願う。筆者は夏が苦手である。今年の夏が猛暑にならないこととスタッフ全員の健康を祈る。
市立角館総合病院泌尿器科に於ける実施可能な高度手術及び症例数
尿道形成術等
- 尿道下裂形成手術
- 前立腺精嚢悪性腫瘍手術
- 尿道上裂形成手術
- 尿道形成手術
- 経皮的尿路結石除去術
- 経皮的腎盂腫瘍切除術
- 膀胱単純摘出術及び膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術を除く)
| 平成15年 | 平成16年 | 平成17年 | 平成18年 |
|---|---|---|---|
| 12件 | 12件 | 15件 | 16件 |
前立腺癌について
天皇陛下がその手術をお受けになったというニュースが報道された瞬間、一躍注目されるようになった前立腺癌が、近年国内で増加しているのをご存じでしょうか。
これは日本での高齢者人口の増加に伴って、典型的な高齢者癌の代表である前立腺癌そのものの発生率が上昇しているという面ももちろんありますが、PSAという非常に優れた前立腺癌の腫瘍マーカー(ある方が前立腺癌に羅患している可能性があるか否かを判断するのに有効)が発見され、それが臨床の現場で活躍されることが定着してきたこと、また、PSA導入をした前立腺癌検診が普及してきたこと、さらには、PSAの値から前立腺癌が疑われる方に対して確定診断のために行われる系統的前立腺癌生検法が今日確立されたことによって前立腺癌の発見率が飛躍的に向上してことによるところが非常に大きいと思われます。
PSAの値は少量の血液を採取することにより簡単に測定できます。公立角館総合病院ではもちろんですが、町内の医院や診療所、さらには町の基本検診でもPSA検査が可能となっております。
前述しましたように、前立腺癌は年齢が高くなるにつれて、その罹患率が高くなる疾患ですので、60歳以上の方には是非一度PSA検査を受けられるようお勧め致します。
ところで、前立腺にはおしこっこが出にくくなる前立腺肥大症という病気もあります。前立腺よりもむしろ前立腺肥大症という病気を耳にしたことのある方の方が多いかもしれません。
前立腺癌は前立腺肥大症の延長線上にあるものではなく、全く別個の病気ですので、おしっこが出にくいという症状がないことによって前立腺癌の可能性を自ら否定するのは禁物です。前立腺肥大症が前立腺の内側に発生する病気であるのに対し、前立腺癌は前立腺の外側に発生する病気であるため、初期の(根治可能な)前立腺癌で絵は排尿症状が出ないからです。どうかくれぐれも前立腺癌と前立腺肥大症を混同しないようにしてください。
PSAの異常値をきっかけに偶然見つかるような早期前立腺癌に対する治療の第1選択肢はやはり手術療法ですが、根治性においては放射線治療も手術療法に劣らないと考えられています。また、ホルモン療法も古くから知られている有力な治療法です。
このように治療法が多岐にわたる前立腺癌は、固形癌の中でおそらくもっともおとなしい、進行の穏やかな癌です。たとえ前立腺癌と診断されても、患者さんの年齢、生検された組織の性状や病期によっては、無治療のままPSA値の推移を見ながら経過観察するのが最適な治療方針となるケースもあるほどです。従って、前立腺癌の診断が確定しても決して落胆なさらず、どうぞ前向きにその後の検査や治療を受けてください。
現在はありません。
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