外科
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ドクター紹介
写真:伊藤Dr(左) 藤村Dr(右)
私たちが外来診療と手術を担当させていただきます。外科臨床の技量には手術経験の質と量が大きく関係します。伊藤Dr.は横浜で、藤村Dr.は京阪神で多くの臨床経験を積んでいますので、それらの経験を皆さんのお役に立てたいと思っています。安心して何でもご相談下さい。どうぞよろしくお願いします。
伊藤良正:外科科長・診療部長
血液型◆B型
趣 味◆音楽鑑賞・スポーツ観戦
1979年3月 秋田県立本荘高等学校卒業
1985年3月 秋田大学医学部医学科卒業
1985年6月 秋田大学医学部第二外科入局
1999年7月 当院外科へ赴任
日本外科学会認定医
日本外科学会専門医
日本消化器外科学会認定医
マンモグラフィー検診精度管理中央委員会読影認定医師
藤村直幸:手術室長
血液型◆A型
趣 味◆ヴァイオリン演奏(オーケストラで弾いています)・読書(ロシア長編文学にハマっています)・ドライブ・ミリタリー全般・スポーツシューティング・テレビゲーム(→これで腹腔鏡手術の腕をみがいています!?)
1981年3月 慶應義塾志木高等学校卒業
1988年3月 秋田大学医学部医学科卒業
1988年6月 京都大学消化器外科学教室入局
1988年6月 兵庫県立尼崎病院外科研修医(外科ストレート研修)
1991年2月 神戸製鋼所神鋼病院外科
1992年4月 京都大学大学院外科学講座消化器外科学専攻入学
1995年11月 三菱京都病院外科
1998年4月 京都専売病院外科
2000年4月 医仁会武田総合病院外科
2001年11月 秋田大学医学部第二外科入局
2002年4月 当院外科へ赴任
日本外科学会認定医
日本外科学会専門医
日本消化器外科学会認定医
マンモグラフィー検診精度管理中央委員会読影認定医師
「新しい傷の治療法」のパンフレットを作りました!
外科では、消毒せずガーゼを使わない方針で傷の治療を行っています。しかし、患者さんのなかには不安と疑問をもつ方もいらっしゃいます。たとえ理に叶った良い治療方法でも、以前と全く違うのですから、それは当然の反応だと思います。
そこでこの度、傷の新しい治療法を解説したパンフレットを作りました。病院へ行くまでもない小さな傷を家庭で治す参考にもなります。外科外来と小児科外来に置いてありますが、ご希望の方には郵送しますので、メールで病院宛にご請求下さい。
傷に消毒とガーゼは必要?
怪我の処置と言えばこれまでは「消毒+ガーゼ」でした。消毒は痛いし、翌日にガーゼを剥がすのはもっと痛いですよね。患者さんも医師も看護師も「そういうもの」として疑問すら持ちませんでした。しかし、最近になって、こうした従来型の治療方法が、実は傷の治りを妨げている事実が認識されるようになりました。新しい治療法は、傷は早く綺麗に治り、しかも痛くない治療法です。つまり・・・
- 傷口の消毒はしません。水道水(!)で洗い流すだけで十分です。
- ガーゼは使いません。傷口は乾燥させてはいけません(傷を乾燥させるスプレーは絶対に使わないで下さい!)。
傷口の細菌をゼロにする必要はありません。水道水で洗い流して細菌数を減らせば良いのです。化膿は消毒とは別のメカニズムで起こります。傷口から出る浸出液には傷を治すはたらきがありますから、傷にガーゼを使わずに湿った状態にしておいた方が治りは早いのです。そもそも傷を治す主役は「細胞」ですから、細胞がはたらきやすい湿った状態にするのは良いことです。傷の状態によってフィルムやハイドロコロイド材などを使います。やけどは軟膏やガーゼを使わず、食品用ラップで覆って治します。手術後の患者さんの傷口も消毒をしていませんが、感染が多くなったということはありません。
地域の先生方へ
外科疾患に関連した事は何でもご相談ください。困難な疾患に直面することを、新しい治療法開拓へのエネルギーにしたいと考えています。
角館町乳がん検診は外科で行っています
マンモグラフィーの正しい判定にはマンモグラフィー検診精度管理中央委員会の認定資格が必要です。当科の外科医は両名とも資格を有していますので、安心して検診をお受け下さい。
治療全般について・・・心がけていることなど
標準的な治療という考え方を大切にしています。
施設や主治医の好みで治療方法を選ぶのではなく、手術方法にしても薬を使った治療にしても、「日本で現在主流の方法」あるいは「世界標準の治療法」は何なのかを、常に意識しています。日々進歩する治療法を安心して提供できるように、我々外科医は常に学び、努力しています。たとえば抗がん剤は、最近になって新しいメカニズムの良い薬が出てきましたので、治療戦略が大きく変わりつつあります。このような進歩をいちはやく診療メニューに取り込んで「標準的治療を安心して受けてもらうこと」が我々の使命であると考えています
治療方針は患者さんとそのご家族と相談の上で決めています。標準的な治療法が必ずしも患者さんの価値観と一致しない場合があります。ですから外科に入院されても、手術以外の治療法を選択することは少なくありません。各々の治療方法の特徴を十分に納得・理解してもらった上で、患者さん自身に決めて頂いています。
良い医学医療にはナース・薬剤師・栄養士・事務スタッフ等とのチームワークが欠かせません。当科では週1回、ドクターとナースが集まってカンファレンスを行っています。治療方針やケアなどの患者さんに関するすべてが話し合われます。患者さんのためになる良いアイデアはどんどん取り入れ、スタッフが一丸となって向上心をもって診療に取り組んでいます。外科病棟は2階にあります。通常は東側病棟で治療しますが、西側病棟は主に比較的軽症の女性の患者さん用で、産婦人科・小児科と共通です。
重症患者さんの多くは外科で治療します。交通事故などで当院へ救急搬送された患者さんでは、外科で治療して生命に差し迫った危機を脱した後に他診療科へ移るというケースが少なくありません。ナースを含めた外科スタッフの、普段の術後管理と合併症治療の経験と能力が大きく生かされる場面です。
手術全般について
外科手術では止血に糸を使います。
その多くは絹糸です。それらの糸は後でお腹を開けて取り出しませんので、一生涯消えることなく「異物」として体のなかにとどまり続けることになります。そして時にそれらが病気の原因になることがあります。当科では、それをなるべく避けるために電気的に止血と切開が自動的に行う「リガ・シュアー*」という手術器械や、切り進めながら同時に細い血管を止血する「パワー・スター*」というハサミ、あるいは高周波振動で止血と切開を行う「ハーモニック・スカルペル*(超音波凝固切開装置)」などを場面に応じて積極的に使用しています。これにより、使用する糸は非常に減りましたし、同時に手術時間は短く、出血量も少なくなりました。そして可能な限り「溶ける糸」を使うよう心掛けています。また、手術後に腸と創が癒着してイレウス(腸閉塞)が起こることがあります。当科では汚染手術を除く開腹手術全例で「セプラ・フィルム*」という癒着防止シートを使用しています。その結果、癒着性イレウスの発生はほとんどなくなりました。従来の方法にとらわれることなく、一歩でも「からだにやさしい手術」に近づけるように、手術方法の工夫と同時に、新しい手術器械と材料の検討を常に怠りません。
秋田県特に仙北地方は高齢の方が多く、手術を受ける患者さんも糖尿病や高血圧症など多くの合併症をもった方々が少なくありません。それらは術後合併症の発生率を高くします。いわゆる一流病院のなかには、そのような合併症を持った患者さんや高齢の方の治療を断るところが少なからず存在します。「手術治療成績が悪くなる」からです。しかし、合併症の存在や年齢が患者さんの「外科治療を受ける権利」を奪ってよいものでしょうか?当科では他診療科の協力の下に、そのようなケースでも患者さんやご家族とよく相談して細心の注意のもとに積極的に治療を行います。たとえば術後呼吸不全の治療に欠かせないサーボ・ベンチレーターはもうすぐ最新機種が2台導入される予定ですし、術後腎不全は泌尿器科の全面的協力を得て透析治療を行います。合併症を起こさない努力はもちろん大切ですが、合併症が発生した場合の治療手段を多く持つことも良い外科治療には欠かせません。
A:直腸前方切除術を行っています。画面右側はS状結腸です。リガ・シュアー*に通電して辺縁動静脈を電気的に凝固し、切離しています。
B:辺縁動静脈が切離されました。従来は絹糸で結紮していました。出血は全く見られません。当科では2-3mmまでの血管はこうして処理しています。
C:パワー・スター*で結腸間膜を切離しています。ハサミのブレード間に通電し、細かい血管を凝固しながら切り進みます。手術時間は短く、出血量は少なくなりました。
診療実績(2004年1月〜12月)
手術件数は診療レベルのひとつの目安です。「手術件数が多いほど良い病院」と言えます。昨年、我々は172件の手術を行いました。下表のような内容です。手術内容は多岐にわたり、手術件数は年々増加の傾向にあります。手術件数の多い外科はいくらもありますが、当科ではほぼ全例で我々二名の外科医が協力して治療にあたっています。
| 食道亜全摘術 | 2 | 胆嚢摘出術 (腹腔鏡下胆嚢摘出術) |
27(21) |
| 胃部分切除術 | 15 | 虫垂切除術 (腹腔鏡下虫垂切除術) |
11 (4) |
| 胃全摘術 | 3 | 鼠径ヘルニア (嵌頓例・小児ヘルニア) |
31 (4・1) |
| 結腸切除術 | 11 | 乳房切除術 | 7 |
| 直腸前方切除術 | 5 | 肺切除術 | 1 |
| 腹会陰式直腸切断術 | 2 | その他の開腹手術 | 30 |
| 肝切除術 | 1 | 肛門手術 | 14 |
| 膵頭十二指腸切除術 | 5 | その他の非開腹手術 | 7 |
| 合計 | 172 |
この他に局所麻酔手術が28件あり、それらを合計すると2004年の手術件数は200件になります。
秋田大学医学部第二外科のロゴ・マーク
診療内容
消化器外科が診療の中心になります。
食道から肛門までつづく管(消化管)と、これに付属する肝臓・膵臓・胆嚢などの病気の治療が主なものです。消化器内科と協力して外科治療・内科治療の垣根をとりはらった治療を行います。たとえば胃癌を例にとると、以前は手術していたものでも、ある条件を満たせば手術せずに消化器内科で内視鏡を使って切り取って治せるようになりました。内科で治療するのか、あるいは外科なのか。治療手段や考え方の進歩はとどまることがありませんので、その境界線は時代とともに変化します。「地方だから」「田舎だから」という認識は我々にはありません。病院建物は少々旧いですが、都会の総合病院外科と同レベル以上の治療を提供することを、当科はお約束します。
●日本消化器外科学会 http://www.jsgs.or.jp/
早期胃癌
早期胃癌は病変部の深さや広がり・位置・細胞の性質などの条件がそろえば「胃内視鏡で粘膜を切除」します。これは当院消化器内科が主役です。切り取った癌標本は大学病理部で詳しく調べます。その結果によって外科で胃切除の追加治療が必要になる場合もあります。また、条件が揃わない場合は胃切除を行うことになりますが、胃とリンパ節を切り取る範囲については日本胃癌学会の「胃癌治療ガイドライン」に従っています。ですから当科では日本の胃癌標準治療を安心して受けて頂けます。ただし、ガイドラインはあくまでも判断の手がかりを示したもので、実際に治療する患者さんの状況は千差万別です。患者さんの価値観を考慮して,患者さんとドクターが一緒に治療方針を決めていことが大切です。一般市民向けのわかりやすい解説がありますので、日本胃癌学会ホームページをごらん下さい。一般的な治療法が確認できます。
●日本胃癌学会 http://www.jgca.jp/
進行胃癌
進行胃癌は一番内側の粘膜に発生した癌が深く広がって、筋肉の層にまで達したものです。外科手術が必要になります。根治が期待できる胃癌は大動脈周囲の深いリンパ節まで廓清(リンパ節を取り除くこと)します。また、さらに進んで近所の臓器(肝臓・膵臓・大腸・脾臓)にまで及んだ胃癌でも、「膵頭十二指腸切除術」などの拡大手術や合併切除によって積極的に治療しています。なお、スキルス胃癌に代表される高度進行胃癌に対しては、手術療法が必ずしも良い結果につながらないため、化学療法を先行させます。主な武器は従来の5-FUやCDDPに新しいTS-1などを組み合わせたもので、当科でも劇的に改善して食事ができるようになり、退院可能となった患者さんを経験しています。癌が小さくなったところで再び全身チエックを行い、可能であれば患者さんとよく相談し、手術で一気に根治を目指します。
進行胃癌の切除標本です。
画面左側の十二指腸にまで広がり、深い癌性出血性潰瘍は膵臓にまで達していました。「膵頭十二指腸切除術」によって治癒切除可能でした。
結腸・直腸癌
結腸・直腸癌は最近増加しつつある癌のひとつです。
早期であれば消化器内科で内視鏡を使って切除します。当科では「D2リンパ節廓清」を原則にしています。ところで、直腸は周りを神経の束が取り巻いています。背骨から膀胱や直腸に向かう神経で、排尿・尿意・排便・便意・陰茎勃起・射精などに関与しています。これらが手術によって損なわれるとQOL(生活の質)が低下しますので、癌の根治性を保ちながら、なるべく神経を残す(温存)ようにしています。直腸周辺は狭く、特に骨盤が狭い男性では視野も不良ですが、リガ・シュアー*やハーモニック・スカルペル*等を用いてほぼ無出血のまま骨盤の深い部分の手術操作を行えるようになったため、神経走行を見極めながら正確にこれを残せるようになりました。また、肛門近くに癌ができた場合には「腹会陰式直腸切断術」つまりおなかの壁に便を出す人工肛門を作る可能性があります。しかし、手術器械の進歩によって肛門から癌まで数cmもあれば肛門を残せるようになったので、人工肛門を作る直腸癌手術は最近はうんと減りました。直腸癌であっても、必ずしも人工肛門が必要というわけではないということです。手術によって癌病巣を含む結腸とリンパ節が切り取られますが、これを大学病理部に送って詳しく調べてもらいます。10日から2週間程度で結果が出ると、正確な癌の進行程度がわかります。ステージ0・I・II・IIIa・IIIb・IVと5つの段階に分れます。ステージIIIaの再発率は25%で、ステージIIの2倍にもなりますので、ステージ IIIa以上では手術後に化学療法を追加します。現在の主役は5-FUとロイコボリンで、イリノテカンやTS-1を用いることもあります。2005年4月からはオキサリプラチンが保険適応になり、世界標準の3剤併用療法がやっと日本国内でも実施可能になりました。当科でも既に数名の患者さんに使用しており、従来の化学療法以上の治療効果を確認しています。結腸・直腸癌の再発は「肝臓」に最も多く、「肺」「局所」がこれに続きます。また、再発後の生命予後が良好なことも特徴で、例えば肝転移も3個以内であれば切除可能です。再発は必ずしも「死」を意味しません。流行の腹腔鏡手術も症例を選んで行っていますが、結腸・直腸癌では開腹手術に対する腹腔鏡手術の明確なアドバンテージは現在のところはっきりしていません。
膵臓癌
膵臓癌は5年生存率が10%と、治療成績が悪い癌のひとつです。膵臓は薄い臓器なので、癌が少し大きくなっただけで癌細胞が周りに散らばる、つまり転移しやすいからです。ですから化学療法に望みを託すことが多くなりますが、手術によって症状改善のみならず長期生存とQOL改善の得られる患者さんも少なからず経験しており、患者さんごとに適切な治療戦略を検討しています。
膵頭十二指腸切除術によって膵臓癌を切除したところです。
画面左が頭側です。左上に肝臓が見えています。青いテープは門脈に掛かっています。テープの直下に上腸間膜動脈が見え、腹部大動脈・大静脈がその下に並んでいます。大動脈周囲リンパ節#16a2・#16b1はリガ・シュアー*を用いて廓清しました。膵臓の右半分をパワー・スター*で無血的に切除し、露出した膵管に白いチューブが入っています。画面左下のブルドック鉗子は切離した総胆管に掛けてあります。肝動脈は左右別々に、つまり左肝動脈は腹腔動脈から、右肝動脈は上腸間膜動脈から分岐していました。このように切除が終わると、次に小腸を持ち上げて胃・膵臓・総胆管とつなぎます。「消化管再建」と言います。消化管再建が必要であることは消化器外科手術の大きな特徴で、消化器外科医のセンスの見せどころです。当科独自の工夫を加えたChild変法(PD-IIA)により再建しました。
食道癌
食道癌の症状として最も多いのは「物が飲み込みにくい」というものです。
食道は胸のなかを胸椎・大動脈・気管・肺などに囲まれて走っています。進行してそれらに浸潤(T4)した癌は「集学的治療」が必要ですので、秋田大学第二外科に依頼して「術前化学放射線療法」で小さくしてから切除します。術前治療が不要な癌では手術を先に行います。食道癌のリンパ節転移は、食道周辺のみならず、腹部と首にまで及びます。胸(通常は右開胸)を開けて病巣とリンパ節を切除し、おなかを開けてリンパ節を廓清します。通常は管状に形成した胃(胃管)を胸の中に通して食物の通り道とします。この通し方には3通りありますが、当科では元々食道があった場所を通す「後縦隔経路」により再建します。食道癌手術は手術侵襲(患者さんの体へのダメージ)が大きいですから、術前検査で首へのリンパ節転移が無い場合は首のリンパ節廓清を省略して侵襲軽減を図っています。これにより、手術後の「むせ」や「誤嚥性肺炎」がなくなり、QOL低下が避けられます。
●秋田大学食道外科 http://www.med.akita-u.ac.jp/~geka2/esophagus/
虫垂炎
虫垂炎は「盲腸」と呼ばれることが多いようですが、これは誤りです。虫垂と盲腸は全く別の部分なので「虫垂炎」が正しい呼び方です。状態によりますが、一般的には先ず抗生物質で「散らし」て様子を見ます。抗生剤で治らなかったり、何度も繰り返す痛みの場合に手術を行います。手術には2つの方法があります。従来の「開腹手術」と「腹腔鏡手術」です。腹腔鏡手術は5mm細径スコープ導入に合わせて2004年に始めました。小開腹ですと狭い範囲しか見えませんので、虫垂周辺の検索は困難でしたが、腹腔鏡を使うと周辺臓器をクリアーに観察可能です。特に女性の患者さんでは卵巣・子宮が明瞭に見えますので、しばしば虫垂炎と困難な婦人科疾患との鑑別にも威力を発揮します。しかも傷は殆ど目立たなくなるので水着も安心して着られ、美容的に優れた方法でもあります。傷痕を気にされる若い女性に好評です。
腹腔鏡下虫垂切除術後2週間目の傷痕です。
臍内に10mm・恥骨上に5mm・左下腹部ビキニラインに5mmの傷があります。切除虫垂は臍内の創から取り出します。
胆石症
胆石症もよく見る病気です。
肝臓は「胆汁」という消化液を作っています。これは肝臓内の細い水路を通って肝臓の出口で「総胆管」という直径10mmほどの管にまとまります。総胆管は数cmくらいの長さです。膵臓を貫いて十二指腸に達し、胆汁はここで胃から送られてきた食物と混ざります。胆汁を貯めておく袋が「胆嚢」です。ただ貯めるだけでなく、胆嚢には胆汁の「濃縮」と収縮による「分泌」というはたらきがあります。塩水を煮詰めていくと塩の結晶が出来ますが、胆汁を濃縮する胆嚢にも同じような原理で結晶、つまり「胆石」が作られます。からだの内に出来た石は痛みの原因になることがあります。胆石は検診で偶然見つかることが多いですが、痛みや黄疸の原因になる胆石は治療が必要です。腹腔鏡を用いて胆嚢ごと胆石を取り除く「腹腔鏡下胆嚢摘出術」を行います。腹腔鏡手術は開腹手術に比べて術後が楽であること、つまり「低侵襲」(からだにやさしい)であることが大きな特徴です。決して傷痕の大きさだけの違いではありません。術後に侵襲の指標となる炎症性サイトカインIL-6を比べると、腹腔鏡手術で明らかに上昇が少ないというデータがあります。手術はテレビモニターを見ながら行います。スコープを臍部の10mmの創からおなかに差し入れ、5-10mmの創をさらに3つ作って専用鉗子類を操作します。術後2日目には退院可能です。ただし、炎症が強くて出血が多い場合は開腹します。腹腔鏡手術は開腹手術で行える手技すべてが可能ではありません。ある一定の制限下で成立する手術です。腹腔鏡手術は何よりも安全第一ですので、安全確保が困難な場合は、ドクターの判断で開腹手術に移行させて頂くことをあらかじめご了承下さい。なお、胆嚢がなくなっても消化機能に大きな影響はありません。
腹腔鏡下胆嚢摘出術で摘出した胆嚢です。
胆嚢管と胆嚢動脈はチタン製クリップ(画面左側に見えます)で処理します。最近は多くが写真のようなコレステロール系結石です。
乳腺疾患
乳腺疾患は外科で診察します。
最も多いのは乳腺症で、症状は乳房の痛みやしこりです。乳癌を心配して外科外来を訪れた患者さんのほとんどが乳腺症です。乳腺の良性変化のひとつで、乳癌の原因にはなりません。詳しい原因は不明ですが、女性ホルモンのアンバランスが関係しているようです。診断のポイントは乳癌との区別です。視触診・マンモグラフィー(乳房X線撮影)・乳腺超音波を行いますが、それでも乳癌の可能性が残る場合は「穿刺吸引細胞診」により診断します。乳腺症は決して病気ではなく乳癌とは無関係です。しかし、乳腺症の乳腺に乳癌が発生すると自己検診だけでは発見しにくいので、年1回は乳癌検診を受けた方が良いでしょう。
乳癌
乳癌は乳腺の悪性腫瘍で、近年増加しつつある癌のひとつです。
しこりに気づいて発見されることが多く、痛みはありません。マンモグラフィーが最も確実な診断方法で、発見困難であった非触知乳癌もこれにより発見される機会が増えました。角館町の乳癌検診は2004年から当科にてマンモグラフィーを併用して行っています。当科の外科医は何れもマンモグラフィー検診精度管理中央委員会読影認定医師ですし、放射線技師も同じく認定放射線技師です。安心して診断をお任せ下さい。治療は手術療法と補助療法に分かれます。腫瘍の大きさが3cm以下で単発の場合には乳腺温存療法が考慮されます。術後に胸の形の大きな変化をもたらす、以前は「定型」とされた大胸筋合併切除は、現在でほとんど行われなくなりました。世界的流れは「縮小手術」の方向にあります。乳房温存手術では残った乳房に50グレイ程度の放射線照射が必要です。照射により、局所再発率は5%まで低下します。術後補助化学療法メニューは年齢・月経の有無・腫瘍の大きさ・リンパ節転移の状況・組織型・ホルモン受容体の有無より決定します。従来のFEC療法(5-FU+ファルモルビシン*+エンドキサン*)やCMF療法 (エンドキサン*+メソトレキセート*+5-FU)、それに抗エストロゲン剤やアロマターゼ阻害薬・合成プロゲステロン製剤に加え、最近では微小管阻害作用をもつタキサン系抗癌剤パクリタキセル(タキソール*)・ドセタキセル(タキソテール*)と分子標的薬トラスツズマブ(ハーセプチン*)が加わり、乳癌と戦う武器が豊富になりました。使える薬の数が寿命を決定します。再発転移を来した乳癌でも良好な生命予後が望める時代になりました。
●日本乳癌学会 http://www.jbcs.gr.jp/
●マンモグラフィー検診精度管理中央委員会 http://www.mammography.jp/
また、最近では腋の下のリンパ節郭清を「センチネルリンパ節生検」により省略する方法が日常臨床でも試みられるようになっています。腋下リンパ節郭清を行わないとリンパ流が保たれますので、術後に腕の腫れやむくみの起こる可能性が小さくなります。残念ながら当科では設備の制約のため行えませんが、興味のある方は秋田大学乳腺外科に紹介致しますのでお気軽に申し出て下さい。
●秋田大学乳腺甲状腺外科 http://www.med.akita-u.ac.jp/~geka2/mammary-thyroid/
鼠径ヘルニア
鼠径ヘルニアは「脱腸」のことです。
ふとももの付け根のおなかの壁が弱くなって腹膜に包まれた腸が膨らんでくるものです。放置しておくと男性では陰嚢内に入り込んで、子供の頭くらいの大きさになることがあります。唯一の治療は手術療法です。十数年前まではBassini法やMcVay法などの、周りの組織を糸で無理やり寄せて弱い部分を覆う手術が主流でしたが、10-20%に再発が見られました。現在はメッシュ・プラグ法という、専用メッシュで弱い部分を補強する手術が主流です。術後、メッシュのの網の目に繊維芽細胞が入り込み、ご自分の細胞や組織で覆われた強いシートが完成します。これに要する期間は約2週間で、その後は力仕事やスポーツが可能になります。手術時間は約30分。麻酔は局所麻酔・腰椎麻酔(下半身麻酔)・全身麻酔の何れも可能ですが、痛みや不安感のない全身麻酔を選ばれる方が大部分です。また、腸が飛び出したまま戻らなくなったのが嵌頓ヘルニアで、すぐに手術が必要です。そのままにしておくと腸が傷みますし、非常に強い痛みがあります。そうならないためにも、最近下腹部が膨らんできたという方は是非外科外来を受診して下さい。
手術に使用するポリプロピレン製メッシュです。折り畳んだメッシュ・プラグをヘルニアの袋に押し込み、シート状のオンレイ・パッチで補強します。
子供さんの鼠径ヘルニアは先天性で、発生メカニズムは大人と全く異なります。遺伝性はありません。全身麻酔で治療します。嵌頓すると容易に重症化しますので、発見次第、手術を行います。手術時間は約15分で、手術当日のみの1泊入院です。
気胸と肺癌
呼吸器外科領域での主な病気は気胸と肺癌です。
気胸は痩せ形の若い男性に多く、突然の息切れや胸の痛みで始まりますので、心筋梗塞や胆石発作の痛みとまぎらわしいことがあります。肺に孔があいて空気が漏れ出した状態で、聴診と胸部レントゲン写真で診断します。肺の縮み方が大きい場合は、胸に細いチューブを入れて空気を抜きます。2・3日経過しても空気の漏れが続く場合は手術を考慮します。手術はカメラを用いて行いますので、傷痕は殆ど残りません。繰り返す気胸も手術適応になります。肺癌診療でも「マルチスライス・ヘリカルCTスキャン」が存分に威力を発揮します。既に検診がスタートしていますし、それまでは見過ごされていたような小さな初期の肺がんが見つかるようになりました。当科では、秋田大学胸部外科との密接な協力関係のもとに適切な治療を提供します。
●秋田大学医学部呼吸器外科ホームページ http://www.med.akita-u.ac.jp/~geka2/respiratory_organs/
痔
その他当科では痔に代表される肛門疾患・甲状腺疾患・腫瘤切除・陥入爪などの治療をお引き受けできます。いつでもお気軽にご相談下さい。
04年4月より角館町の検診の「肺がん検診」を当院で行っています
秋田県で初めて導入したマルチスライス・ヘリカルCTスキャンによる肺がん検診です
電話 0187-54-2111(総務企画課)まで お問い合わせ下さい
「新しい傷の治療法」のパンフレットを作りました!
詳細はごらんのページ内
ご希望の方には郵送もしますので、メールで病院宛にご請求下さい。
予防接種について
現在はありません。